熊本いま遺産
「今」しか見られない、体感できない
熊本のスポットを、「特設今遺産編集室室長」今井さんの
ピックアップで、ご紹介します!
今井 太郎(いまい たろう) 48歳
特設今遺産編集室室長。ちなみに編集室所属スタッフは1名で、今井さんのみ。家族は、妻のきょう子(45)と娘のアスカ(高校生)と、猫のナウの3人と1匹。唯一の趣味は、カメラだが、どうしてもカメラでなく写真機と言ってしまう。近頃の悩みは、メタボなお腹と、娘があまり相手にしてくれないこと。

File.9 白糸台地を救った石橋の今

編集室長 今井 皆さま、こんにちは。
この編集室は、日進月歩元気に、進化している熊本の今を後世に残すため組織されたものであります。はい。
2016年4月に起きた熊本地震は大きな爪痕を残しましたが、そこから熊本は一歩ずつ着実に元気になっております。その様子をわたくしが写真を撮り、記録に残してまいります。
からしてわたくしは、皆さまにその編集の過程を随時ご紹介してまいりたいと存じますので、よろしくお付き合いのほどお願いいたします
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編集室長 今井 皆さま、本年もどうぞよろしくであります。
 
今井さん、お正月はゆっくりされましたか?
編集室長 今井 はい。いつもと変わらず年の暮れから、わたくしの役目である年賀状書き、大掃除、手打ちの年越しそば作り、おせち料理の創作、お年玉の分配、福袋の順番待ち、初詣の順番待ちと一人でたんたんとこなし、心穏やかに新年を迎えましたな。
 
結構忙しいお正月ですね。
編集室長 今井 普段、遺産巡りに没頭できるのも家族あってのことでありますからな。
 
そうですね。さて、新年第一回目はどちらをご紹介いただけますか?
 
編集室長 今井 はい。九州の中央に位置し「九州のへそ」ともいわれる上益城郡山都町やまとちょうの、有名な石橋についてご紹介するであります。
 
言わずと知れた・・・
 
編集室長 今井 そう。通潤橋つうじゅんきょうであります!そもそもこの橋は、水不足に悩んでいた白糸台地の民衆を救うため、江戸時代に時の惣庄屋「布田保之助ふたやすのすけ」が、「肥後の石工」の持つ技術を用いて建設した石橋であります。
 
日本最大級の石造りアーチ水路橋で、今も橋の上に敷かれた農業用水を送る石管が周辺の田畑を潤している、圧巻の放水で知られるあの橋ですよね。
 
編集室長 今井 ・・・ま、そうでありますな。ちなみに放水は通水管の堆積物を取り除くために行われるのであります。
 
熊本地震ではどういった被害があったんですか?
編集室長 今井 地震直後の現地確認では、目立った被害は見られず、当時の建設技術の高さを証明したのであります。えっへんですな。
 
そうでしたか。さすがですね。
編集室長 今井 しかし、石の通水管の接合部には漏水が見られ、橋上や周辺の通行止めが行われました。石管のつなぎ目に詰めていた漆喰しっくいが地震で破損したためのようであります。
漆喰については、布田保之助が記したと伝えられる「通潤橋仕法書」に材料の配合と作り方が示されております。
 
  • 雨水の浸水を最低限にとどめるために、ブルーシートを被せた
  • 周辺の通行止めの様子
ではその漆喰、すぐにも再現できそうですね!
編集室長 今井 そこはそう簡単には問屋が卸さないのであります。この「通潤橋仕法書」に書かれていることだけでは、漆喰の見た目や感触、湿り気などは分からんのです。
こうした部分は、これまで実際に漆喰での維持修繕を続けてきた経験者の感覚により伝承されているのであります。また、これら漆喰に関わる作業は、非常に労力を要するのだそうであります。
 
いっそのこと漆喰の代わりにセメントにするわけには・・・
編集室長 今井 ではセメントで固めたとしましょう。しかし、次に修繕箇所が見つかった際、石管を傷つけずセメントのみをきれいに取り外すことは困難。つまり通水石管ごとの改修が必要となるのであります。
その点、漆喰はセメントと比べて弱く、壊れやすいところをあえてつくることで、補修をこの部分のみに留める役割を果たし、石管自体の長寿命化が可能となる、のだそうであります!
 
  • 劣化した漆喰の除去作業
なるほど!まさに先人の知恵ですね。
編集室長 今井 通潤橋では、通水石管自体も部分的に交換することが可能。壊れた部分だけを補修し続けることで橋を長持ちさせるのですな。昔の技術で、現代社会でも農業用水路としての役割を持つ「生きた文化財」であり、これは通潤橋特有の価値を象徴するものであります。
しかし、着々と復旧工事が進められていた最中の2018年5月7日、通潤橋の石垣の一部が崩落したのであります。当時、降り続いた豪雨の影響ともいわれております。
 
  • 石垣の一部が崩落した通潤橋
編集室長 今井 ・・・大雨による新たな災害復旧事業として修理に取り組むことになったのであります。崩落した石を全て回収。更に元の位置を特定していったのであります。復旧工事は2020年3月頃の完了予定とのことですな。
 
  • 落石防止ネットが被せられた通潤橋
しばらくは放水も見られないのですね。
編集室長 今井 ・・・ではありますが、通潤橋のそばにある通潤橋史料館では、200インチの大画面で放水の迫力を伝えております。布田保之助の通潤橋に掛けた思いや、通潤橋の仕組み・原理を模型などで分かりやすく案内しています。お土産は、隣接する物産館「虹の通潤橋」でどうぞ。有機米などの米や、高冷地野菜、山菜、特産の矢部茶や清酒、ゆずや柿の加工品など、特産がそろっておりますぞ。
詳しくは、以下のURLをご確認くだされ!
通潤橋史料館
物産館 虹の通潤橋
 
  • 通潤橋史料館
  • 物産館 虹の通潤橋
行ってきまーす!