KININARU! KUMAMOTO

本文へ

くまもとの最新情報満載! 気になる!くまもと

会員登録

■HIKE_佐藤夫婦 ■小代焼_井上尚之さん

2020.06.04

誰もが集い、“カタル”場所。

今年5月にオープンしたばかりのホステル&カフェバー『HIKE』。玉名の良さを感じることのできる集いの場所として、約1年間のリノベーションを経てオープンした。玉名の新たな未来を描く可能性の詰まった場所『HIKE』のオーナーである佐藤充(さとう みつる)さん・陽子(ようこ)さんご夫妻のもとを訪ねた。

古来より栄えた、熊本県玉名市高瀬の菊池川のほとりにそびえ建つ築古ビルをリノベーションし、ホステル&カフェバーとしてオープンした「HIKE」。このお店を切り盛りするのは、笑顔がすてきな佐藤さんご夫婦。「夫婦で世界1周の旅をしたことにより、日本の良さを知るきっかけとなりました。そして、宿やものづくりの大切さを感じ、人が集う場、共有できる場を作りたいと思い立ちました」。福島県出身のご主人は、広告業、アパレル業を経て、奥さんの地元である玉名に移住。店の名前である「HIKE」は、「ハイキング」に由来している。山登りの際、すれ違う人と気軽にコミュニケーションを取るアットホームな雰囲気を自分たちの店で体現できたら、そんな思いからこの場所を仲間とともに作り上げた。また、ビルを山に見立て、店の屋上から見える自然豊かな風景を、山の頂上から見える絶景と重ねているという。

もともと病院であった築古ビルをリノベーションし、ホステル&カフェバーとしてオープンした『HIKE』。

大きな窓からたっぷりの光が射し込む店内は、風がよく通り、温かみのある雰囲気。1人でも気軽に入りやすいように、適度な距離を保つ大きめの机を使用したり、古い椅子が使用されていたりと、店内にはおふたりのこだわりをいくつも発見することができる。「古い物を活用していく“リノベーション”の心を大切にしています。物を捨てるのではなく、有効に再利用していく。日本では、新しい物に価値がありますが、世界では古い物に価値があるとして、重宝されているんですよ」と旅を通じて経験したことを語ってくれた。

(上)おふたりで挑んだ世界1周旅行を通じて「人が集える場所を作りたい」と語ってくれた佐藤さんご夫妻。
(下)窓に囲まれた広々とした店内は、自然光がたっぷり入るおしゃれな空間。窓の外に広がる、自然あふれる風景に心が和む。

『HIKE』では、“玉名”や“熊本”にまつわる料理はもちろん、地域との関わりを大切にしている。ランチタイムには、熊本の郷土料理である「だご汁」があったり、地元の商店街で販売されるあんこやお酢を使った料理が提供されたりと、“地産地消”に積極的に取り組んでいる。また、お店のリノベーションの際は、地元の業者に依頼し、食器やお箸は玉名で作られた物を使用するなどの徹底ぶりだ。そんな佐藤さんご夫妻の姿勢は、地元の人々にも喜ばれている。

朝はモーニング、昼はランチ&カフェ、夜はバーとして1日中楽しむことができる空間。また、全10室の客室では、素泊まりもできるので、自分のペースに合わせて楽しむこともできる。

「私たちは、花しょうぶ祭りや県下最大級の花火大会といったイベントだけでなく、日常の玉名の魅力を伝えていきたい。HIKEからさまざまな場所へ出かけてもらえるような活動拠点にしていきたいです」とこれからの抱負を語ってくれた佐藤さん。ホステルとしての運営を軸に、モーニング、ランチ、カフェ、バーなど時間帯ごとに、さまざまな過ごし方ができるだけでなく、川や土手に囲まれたこの場所から眺める、自然豊かな風景も自慢のひとつ。集いの場として、一人でふらりと出掛けても、ゆっくりと落ち着いた時間を楽しむことができる『HIKE』。佐藤さんご夫妻の温かな人柄が紡ぐこの場所には、玉名の新たな未来を描く可能性が詰まっている。

店を構える決め手となった『HIKE』の屋上から眺める景色。夏に開催される玉名の花火大会では、特等席となること間違いなし。晴れた日には、長崎県の雲仙普賢岳が見えることも。

HIKE
DATA

HIKE

  • [所在地]玉名市秋丸415-2
  • [電話番号]096-872-0819
    ※予約は承っておりません
  • [営業時間]11:30~22:00
    ※2020年6月4日現在、ホステルは自粛しております。
  • [定休日]水曜
  • [Instagram]@hike_tamana

我が子を育てるように思いを込めて

小代焼を長年にわたり作り続けてきた小代焼『ふもと窯』。小代焼とは、熊本県北部で約400年前から焼き続けられている伝統のある焼き物のこと。全国にファンを持つ2代目の井上尚之(いのうえ なおゆき)さんの職人としてのこだわりや思い、そのルーツを探るべく、井上さんのもとを訪ねた。

熊本県の北西部、福岡県との県境にある荒尾市。豊かな自然に囲まれた山里に、小代焼『ふもと窯』はある。窯の2代目として、作品づくりに情熱を注ぐのは、陶芸家の井上尚之さんだ。熊本のデザイン学校を卒業後、福岡県小石原焼窯元の太田哲三(おおた てつぞう)氏の下で、4年間にわたる修行を経て、父・井上泰秋(いのうえ たいしゅう)氏に師事。現在は、泰秋さんとともに小代焼を生み出している。井上さんが作る小代焼は、地元の粘土を中心に3種類をブレンドして作られる。焼き物は、粘土や焼く時に使用する材料によって、全く異なる物ができるほど繊細なものとのこと。さらに「1つ1つを我が子のように思いを込めて、丁寧に作っています」と井上さんは話す。

父・井上泰秋さん(写真右)とともに家族2世代で、小代焼の仕事をされている息子の井上尚之さん(写真左)。

多くの工程を経て、お茶碗、コップなどは完成する。焼き物は、陶土や釉薬(ゆうやく)によって模様や配色を変えることができます」と井上さん。
長年培ってきた指先の感覚で、湯飲みからお茶碗、コップまでを自由自在につくる尚之さん。粘土は焼くと、2割程小さくなる。このことを想定して、寸法通りの大きさに仕上げていく。

幼い頃から身近に焼き物づくりを見てきた尚之さんだが、最初からこの道を選んだわけではない。専門学校時代にはグラフィックデザインの道も志したが、小石原焼の陶芸家として活動する太田哲三氏に出会い感銘を受けたことがきっかけとなり、陶芸家としての一歩を踏み出した。「初めて男性に対して“かっこいい”という感情を持ちました」とその当時を振り返る。「こういう人になりたい!という気持ちや目標を持つことは、大切なことです。例えば、憧れの人が遊んでいるなら、その人以上に遊ぶ。また、その人の睡眠時間が3時間ならば、自分は2時間の睡眠時間でいる。遊びにしても仕事にしても、そういう心構えが自分に生きてくると思います。いつも自分はつなぎを着て仕事をしていますが、そういう“スタイル”も恩師である太田氏の真似をしたところから。いつの間にかそれが自分のスタイルになっています。先人から大切なことをたくさん学びましたね」と自らの人生の教訓とも言えることを教えてくれた。さらに尚之さんは「経験を積めば積むほど、頭は固くなり、新しい意見や考えを取り込もうとしなくなりますが、常に頭を柔らかく、一生懸命さを忘れないことが大事。毎日が挑戦の連続です」と続ける。

「毎日が挑戦であるため、飽きることがないですね」と仕事の面白さを語ってくれた。

作陶活動では、昔からある物を参考にしながら自分なりに解釈して制作に臨むと言う尚之さん。「昔からある物は、飽きられずに残ってきた物。捉え方を変えると、それが最先端である証拠ですから。そうやって作った器をお客さんが繰り返し使ってくれることこそに価値があり、僕にとってのやりがいにつながっています。買ってもらえても、使ってもらえなくては意味がないです」。自身のこれからの目標の一つとしては「僕が生きているうちに、なりたい職業の20番までに陶芸家が入ること」ときっぱり。「小さいことから変えてみると、生活の雰囲気はガラリと変わる。ビールや食べ物を、陶器に移すだけでおいしく感じるとともに、普段は気にもとどめないようなことに気付くことも。小さな変化が、生活を楽しくするんですよ」とメッセージをくれた。常に自分と向き合いながら、焼き物の道を究めていく尚之さんの器は、これからますます魅力を増していくに違いない。

小代焼『ふもと窯』を一代で築き上げた泰秋さんがこだわりを持って建てたという作業場と、尚之さんの愛車。井上さん親子がそれぞれに抱く美学が、作品の魅力を一層引き立てる。
小代焼ふもと窯
DATA

小代焼ふもと窯

  • [所在地]荒尾市府本字古畑1728-1
  • [電話番号]0968-68-0456
  • [営業時間]8:30~18:00
  • [定休日]なし