スパイスカレーは魅惑の食べ物である。作り手の自由な発想から生まれる、香り高く複雑な味わいの一皿。熊本の蒸し暑さを吹き飛ばしてくれるような食後の爽快感も、スパイスカレーの特徴だ。一度味わうと忘れられないあの味を自宅でじっくりと堪能できたら…。そんな願望を叶えてくれるテイクアウト可能なスパイスカレーの店を3軒紹介しよう。いずれも熊本を代表する人気店のため、売り切れにはご注意を!

穏やかな味なのに印象的 父から娘に受け継ぐレシピ

カレー色のサンシェードが店の目印。原付バイクで10分程度の範囲内に限り、デリバリーにも対応している。

明治時代に調理法がイギリスから日本に伝わって以来、何度も繰り返されてきたカレーブーム。ここ数年は香辛料をふんだんに使ったスパイスカレーの人気が若者を中心に高まっており、熊本も例外ではない。そんな中、16年前からスパイスカレーを提供し続けているのが熊本市中央区河原町にある「BONGA」だ。
創業者の篠原正一(しのはらまさかず)さんは「BONGA」の前身である「梵我(ぼんが)」を営む傍ら、オリジナルスパイスの開発に没頭し、ドレッシングとして使えるマサラ(混合スパイス)や手軽にスパイスカレーが作れるスパイスセットを世に送り出してきた。そして現在は、篠原さんの娘の小島奈寿美(こじまなずみ)さんと夫の崇(たかし)さんが屋号を「梵我」から「BONGA」に変えて店を切り盛りしている。

「BONGA」のカレー作りはスパイスの調合から始まる。化学調味料を使っていないので子育て世代にも人気。

全国各地で激戦を繰り広げているスパイスカレー専門店の中には、ひと口で強烈な刺激とうまみを感じる鋭い味わいのカレーを作る店も少なくない。しかし「BONGA」のカレーの最大の特徴は“穏やかなうまさ”にある。奈寿美さんはその理由を「インドカレーを、日本人の繊細な舌に合う味にアレンジしています」と話す。一番人気は鶏肉をバターと生クリームで煮込んだクリーミーでリッチな味わいの「バターチキンカレー」。その他、ひき肉をココナッツミルクで煮込んだ「キーマ茄子カレー」や、さらりとした辛さの「南インド風ポークカレー」など、それぞれに根強いファンがいる。全てのメニューで辛さが選べ、ご飯やルーの大盛りも対応可能。価格も600円からと良心的で、連日のように利用する客がいるというのも納得だ。

写真は「バターチキンカレー」(600円)。全てのカレーにサラダと2種のスパイス料理が付く。
テイクアウト容器に盛り付けた「キーマ茄子カレー」(650円)。ひき肉がたっぷりで食べ応えあり!
6月から店内での飲食も再開。ただし席数を減らしてあるので、テイクアウトやデリバリーでの利用もおすすめ。
DATA

スパイス食堂 BONGA

[所在地]熊本市中央区河原町2
[電話番号]096-352-6005
[営業時間]11:30~20:00
 ※売り切れ次第終了。
[定休日]月曜、不定
[Instagram]「スパイス食堂 BONGA」のインスタグラムはこちら(外部リンク) 


「食べて元気になるカレーを」 体が軽くなる不思議なプレート

カレーの“ミステリアス度”を上げているのが口数少なめな三枝さん。実は笑顔がキュートな優しい方。

次に紹介するのは、熊本市中央区南千反畑町にある「養生カレー」。 “いい意味で”満腹にならない不思議なカレーを提供しているという。食べてみると、確かにさらっと完食できて、食後に胃が重たくならない。かといって、物足りないわけでもなく、舌と脳にはしっかりと味の記憶が刻まれていて、すぐにまた食べたくなるミステリアスな味。平成30年に店舗を構えたそうだが、それまでは移動販売を行っていたと店主の三枝喬之(さえぐさたかし)さん。「養生カレー」の評判が口コミで広がり、県内外のファンの声に応えるため、移動販売から藤崎八幡宮の参道そばに店を構えた。

店は、街中に近いとは思えないほど落ち着いた雰囲気。6月から席数を制限した上で店内営業を再開した。

メニューはノンベジカレー、ベジカレー、ドリンクの3本柱で構成されている。基本的にノンベジ2種類とベジ2種類が用意されており、内容は仕入れによって異なる。取材当日はノンベジが「日南どりチキンカレー」「フィッシュカレー」、ベジが「小松菜ダル」「茄子のサンバル」。計4種のうちいずれか単品をオーダーすることもできるが、2つの味を楽しめる「2種盛セット」がおすすめだ。

三枝さんが作るカレーは、南インド系のサラサラタイプでスパイスの香りと刺激は控えめ。三枝さんは「食べると元気になって、食後に体が軽く感じられるようなカレーを作りたい」と言う。店名の“養生(体をいたわるの意)”も、その思いに由来している。
 

テイクアウトの「2種盛セット」(1000円)。「日南どりチキンカレー」と「茄子のサンバル」をチョイスした。
店内での提供スタイル。写真は「フィッシュカレー」と「小松菜ダル」の組み合わせ。
三枝さんのカレーには和食の“だし”に似た品のよいうまみがある。テイクアウトはマイ容器への盛り付けも可能。
DATA

養生カレー

[所在地]熊本市中央区南千反畑町11-8
[電話番号]080-6236-3635
[営業時間]12:00~15:00

※7月16日現在、新型コロナウイルス感染症予防のため夜は不定期
営業。臨時の店休日と営業時間はSNSで告知される。
[定休日]月・火曜

[Instagram]「養生カレー」のインスタグラムはこちら(外部リンク)
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インドを愛して30年!現地の“家庭の味”を熊本で


店は熊本市立図書館前にある。駐車場は店の向かって右隣ではなく、裏手にあるので間違えないようご注意を。

熊本市中央区大江に、只者ではないオーラを放つ一軒の店がある。その名は「インド食堂」。窓ガラスに貼られたプライバシーフィルムで店内をのぞくことはできないが、胃袋を強烈に刺激するスパイスの香りが漂い、ランチタイムになると常連らしき人が次々と吸い込まれていく。店主の松本恭攻(まつもとやすたか)さんは「入りにくいでしょ、ウチ」と小さく笑う。松本さんは、今から30年前に市内のインド料理店でインドカレーと出合い、インドの文化に興味を持ち始め、そこからインドに通うようになった。旅先で数々の料理を教わり、「現地の家庭料理の店を開こう」と思い立って平成17年に「インド食堂」を開いたそうだ。

勇気を出してドアを開ける価値のある料理が待っている。写真は日替わりのノンベジタリアンランチとラッシー。

「インドではカレーという言葉の定義はかなり曖昧で、現地ではおかず料理全般の意味合いが強いんですよ」と松本さん。ランチタイムには「ベジタリアン」と「ノンベジタリアン」の2種類の日替わりのおかず(カレー)が用意され、それぞれライスと副菜、和え物、ウラド豆で作る「パパド 」という薄焼きせんべいが付く。プレートでおかずとライスを混ぜてから口に運ぶのが現地の食べ方。全てをごちゃ混ぜにするのではなく、ライスと和え物、ライスと副菜…といった具合にひと口ごとに異なる組み合わせを楽しむ。

インドの家庭では、家族の体調や天気に合わせて少しのスパイスを組み合わせて料理を作る。「インド食堂」も同様で、その日の気温や旬の食材の持ち味によって配合を変えている。1品に用いるスパイスは7種類ほどで、食べ進めるほどに味の奥深さに引き込まれ、気付くと完食している。スパイスが主張し過ぎないから、“食べ疲れ”することがない。毎日でも味わいたくなる一皿だ。

「インド食堂」の料理はスパイスの妙。この日のメニューはベジタリアンが「ナスの香味煮込」、ノンベジタリアンが「鶏肉とヒヨコ豆のマスタード煮」。
テイクアウト容器に詰めたベジタリアンランチ(830円、店内飲食の場合は800円)。プラス100円でライスの大盛りも可能。
松本さんはスパイス使いの名手。スパイスは香りだけでなく味も加えてくれるので、使う塩の量が少なくて済むのだとか。
DATA

インド食堂

[所在地]熊本市中央区大江5丁目12-11
[電話番号]096-371-6528
[営業時間]11:30~14:30(LO)、17:30~19:30(LO)
※7月16日現在、新型コロナウイルス感染症予防のため11:30~14:00(LO)、17:30~19:00(LO)で時短営業中。
※売り切れ次第終了。
[定休日]水曜、第2・4火曜
※7月16日現在、新型コロナウイルス感染症予防のため不定休もある。最新の営業情報はtwitterで告知される。
[twitter]「インド食堂」のtwitterはこちら(外部リンク)