みんなが笑顔になるように、活力に満ちたまちづくりにと、県内各地で奔走する若者たちがいます。そんな“元気で明るい熊本をつくるひと”の日々をご紹介するシリーズです。今回は、熊本地震で甚大な被害を受けた益城町を元気にしようと奔走する三村一誠さんの活動をご紹介します。

笑顔で支え合う益城町のみんなに“楽しめる場”を

試乗する三村さん(左)とパイロットを務める坂田さん。ここからプロジェクトが発進!

気球をふくらませる準備も、子どもたちにとって楽しい時間。ワクワクドキドキ♪

ゆっくりと地上を離れる瞬間が緊張の一瞬。ほどなく子どもたちから歓声が上がる

 4月23日(日)、益城町立津森小学校の上空に巨大な気球が舞い上がると、校庭は子どもたちのはじけるような笑顔と歓声に包まれました。熊本地震で甚大な被害を受けた益城町の人々に楽しんでもらおうとイベントを仕掛けたのは「益城町に気球を飛ばそうプロジェクト」の皆さん。代表を務める三村一誠さんをはじめ、スタッフの誰もが仕事とプロジェクトを両立しながら、地域のために奔走する日々を送っています。

 「益城町で暮らす多くの人々が家を失いましたが、被災直後から大人も子どもも笑顔で支え合い、みんなで乗り越えてきました。物資が行き渡り、インフラが復旧すれば、それぞれが自立した暮らしを取り戻せるものの、片付けや生活に追われて将来の道筋さえ見えない。そんな時に大人も子どもも楽しめる場を作れないかと考えたのがきっかけでした」と語る三村さん。友人である「阿蘇ネイチャーランド」代表の坂田英樹さんが物資を届けてくれた際に、「気球を飛ばそう!みんな笑顔になってもらおう」とプロジェクトを立ち上げたのです。

寄付、ボランティアなど寄せられる思いを胸に

子どもたちのうれしそうな顔!「いつか自分たちが支える側に」と思ってくれたらうれしいと三村さんは語る

2017年1月、益城中学校に上がった気球を遠くに臨む。町内では復興に向けて壊れた家屋の解体が進められていた

  気球を飛ばすための大きな壁となったのは、その資金の確保でした。最低限必要な経費を捻出するために寄付を呼び掛けたところ、県内外を問わず集まり、地震から日も浅い6月には第1回のイベントを開催。これまでに気球を上げた場所は8カ所に及びます。

 「個人や企業を問わず、多くの方々に賛同いただき、本当にありがたいですね。小学校の先生方やPTAの皆さんも積極的に手伝ってくださるからこそ実現できる。地域とのつながり、友人の支え、いろんな方々の支援をいただくたびに、『皆さんの思いをもらっているなぁ』と感じます。だからこそ大切にプロジェクトを通して、皆さんにお返ししたいですね」。

 気球を上げる準備は早朝5時50分から。だけど5時半には、すでに子どもたちが集まってきて、6時には大行列ができると話し、笑みがこぼれる三村さん。子どもたちだけでなく、おじいちゃん、おばあちゃんも目を輝かせて集まってくれる。それを思うだけでも、もう一度飛ばそうという力がみなぎってくるのです。

気球がつなぐ地域のコミュニティー

スタッフが見上げる姿に万感がこもる。資金と人手のやりくりを経て、ようやく実現する一瞬だ

子どもたちが書いた寄せ書きの文字は、元気いっぱい!「がんばろう熊本県」という力強い言葉も

 上空から眺めるふるさとは、今も傷ついたまま。ブルーシートに覆われた景色を目の当たりにしても、子どもたちはすでに現実をしっかりと受け止めていて、動揺することはないといいます。「小学生は『楽しい!』『怖い!』の大合唱ですが、中学生はずっと大人です。このふるさとを自分たちが守っていかなければならないと心に刻み付けて一歩踏み出すような、そんな力強さを感じますね」。

 長く消防団員として地域を守り、共助を支えてきた三村さんにとって、益城町の財産は地域力そのもの。「気球を上げることが目的ではなく、気球を核に人々が集うコミュニティーを作りたい。催しのほかに心のケアをできるようなブースを作って、傷ついた心を癒やしてもらい、安らぎに満ちた暮らしを取り戻せるような場にしたいと思っています」。

 青空に浮かぶ気球は、益城町に暮らす一人ひとりの希望。「益城町に気球を飛ばそうプロジェクト」は、これからも走り続けます。皆さん、応援をよろしくお願いします!

>>益城町に気球を飛ばそうプロジェクト