平成28年熊本地震から1年。皆さまの支援と励ましをチカラに、熊本は今も復旧・復興へ一歩ずつ、一歩ずつ、歩き続けています。今回は、そんな熊本の今を被災地に暮らす方々の力強い声を通してご紹介します。
皆さまの思いに応えて「Jump Up! Kumamoto」!!

阿蘇神社

建物としての再建だけでなく神社としての復興を目指して

国指定重要文化財・一の神殿を前に立つ池浦秀隆さん。
神職の傍ら、文化財担当として復旧・復興に奔走している。

地震で国指定重要文化財である「楼門」が倒壊するなどの被害を受けた「阿蘇神社」。拝殿や翼廊なども倒壊し、三つの神殿や門なども大きく被災しました。現在、楼門はすっぽりとシートに覆われ、復旧工事が進められています。
被災直後に公式ホームページやFacebookを立ち上げ、情報発信の難しさに直面したという池浦さん。「正確な情報や復旧の方向性などを発信する一方で、神社らしい復興の真意を伝えたいという思いがあります」。

全壊した拝殿の傍に造られた仮参拝所には、絶えることなく参拝者が訪れる。お神酒を購入してお供えするなど、阿蘇の復興を願う祈りの場ともなっている。

甚大な被害の中でも湧水は湧き続け、地域のライフラインを守ってくれた。生活用水を求めて、連日水を汲みに多くの人々が訪れたという。

およそ2300年の歴史を刻み“肥後一の宮”と崇められてきた「阿蘇神社」にとって、復興とは建物を直すことだけではないという池浦さん。自然神を祭る神社では、先人たちが自然とどのように向き合ってきたかを伝え、自然に対する畏敬を思い起こしてもらうことが大切だと語ります。そのためにも自らの背中を通して、復旧のノウハウを広く発信し、万一どこかで震災が発生した場合には、自分たちの経験を文化財の復旧に役立ててほしいと試行錯誤の毎日です。
「地震直後、心のよりどころとして多くの方々が駆けつけてくれました。今後は防災を意識した取り組みも必要ではないかと考えています」。

参拝者を元気いっぱいの笑顔で迎える若き神職、山田怜央奈さん。参拝者の思いを胸に一人一人の御朱印帳に朱印を記している。

境内には多彩なおみくじがあり、参拝者にとって楽しみの一つ。厄除けや健康、学業成就のほか、縁結びのご利益もあるとか。

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益城町復興市場・屋台村

このまちで生きていく思いを胸に、今日も元気に営業中!

(写真左から)「clever elephant」スタッフ・岩代朋美さん、「歌蔵」藤森和利さん、「なかや」中野由美子さん、
「お茶の富澤」富澤典子さん、「ヘアーサロンいしはら」石原 浩さん。

2度も震度7の地震に見舞われ、甚大な被害を受けた益城町惣領地区。町の大動脈ともいえる県道28号沿いに、地震で被災した飲食店など21店舗の商店が集う「益城町復興市場・屋台村」があります。被災直後の6月25日にオープン以降、地域の方々の生活を支え、そして各店舗の生活再建の基盤として、大切な役割を担ってきました。

震災後に何か手伝いたいと南阿蘇から出店した岩代さんは、復興Tシャツなどのグッズを販売。売り上げの一部を支援金に。

テントの壁一面に書かれた応援メッセージ。「益城がんばれ!」「熊本がんばるぞ!」の文字が店主たちのチカラになる。

「ここができたおかげで希望をもらえた」と語るのは、手作り弁当・カラオケ店「歌蔵(かぐら)」の藤森和利さん。「お茶の富澤」富澤典子さんも何十年もご愛顧いただいたお客さんと再会し、涙を流しながら抱き合って喜んだとオープン当時へ思いを寄せます。
益城町は今、被災した建物の解体が進んでいますが、再建のめどが立たない人も少なくありません。復旧・復興への道のりで新たな課題も生まれています。
「それでも家族と生きていくため、頑張っていかなん。みんな思いは一つですよ」と富澤さん。屋台村では、次のステップを模索する日々が続いています。

「なかや」自慢の焼きそばメニューの一つ「益城福光焼きそば」。“復興”を目指す益城の人々だけでなく、訪れた全国の人々に愛されている。

生業を支える屋台村への思いがつづられた手書きのポスター。応援してくださる人々への感謝のメッセージもまた、店内にあふれている。

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俵山交流館 萌の里

西原村の農産物を全国へ、震災に負けず一歩前へ

「俵山交流館 萌の里」を支えるスタッフの皆さん。

4月14日、震度6弱の揺れを観測した西原村。「俵山交流館 萌の里」は、14日の前震で大きな被害もなく、16日に営業再開しようと準備を終えた時に本震が発生しました。道路が寸断され、店舗に近づけない状況だったと語るのは、次長を務める寺本篤史さん。午前1時26分で止まった時計が、その激震を物語っています。

西原村で作られた農産物が店内を彩る。それぞれの生産者が採れたての野菜を届けるので、鮮度抜群!地元で愛される豆腐やパン、総菜などもそろう。

西原村の特産といえば“サツマイモ”。「西原かんしょ」と命名されたお芋は、ほくほくして甘みたっぷり!ケース買いする人も多い人気商品。

県道28号に架かる橋が壊れ、俵山トンネルが崩落し、休業を余儀なくされた寺本さんは、農作物を集めて避難所へ届けるほか、西原村の旬の味覚を全国へと届けようと、地元の野菜を詰め合わせた「野菜の玉手箱」の通信販売をスタートしました。「大切なことは、村の生産者を支えること。届けてもらった野菜を完売し、またおいしい野菜を作ろうという意欲を持ってもらいたいですね」と話す寺本さん。
3月15日、ようやく待望の営業を再開。それまで店を支えてきた仮設店舗「復興市場 萌の里」は今、近くの仮設住宅の人々の暮らしも支えています。

熊本市街と阿蘇方面をつなぐ県道28号は、う回路が整備され、絶好のドライブルート。7月ごろまでは西原村産いちごのソフトクリームも販売。

初夏を前にポピー畑が満開に。俵山の新緑の斜面では草スキーで遊ぶことができ、ヤギ牧場では赤ちゃんヤギが生まれた。

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御船町立小坂小学校

子どもたちの笑顔が御船町の元気をつくる

あいさつ運動で垂れ幕を持って、大きな声であいさつする運営委員会のメンバーたち。
その笑顔と声は、被災した御船町の復興へのチカラに。

益城町に隣接する御船町でも2000戸以上の家屋が全壊・半壊という大きな被害に遭い、今も多くの人々が仮設住宅での生活を余儀なくされています。御船町立小坂小学校も校舎が被災し、現在もプレハブの仮設校舎で授業が行われています。
4月、学校運営に児童が参加し、より自主的で元気な学校を目指そうと「運営委員会」が発足しました。子どもたちの中から選挙で選ばれた5人の児童が、学校の集会で司会を務めたり、あいさつ運動をしたりと、大活躍。運動会のテーマを決めるなど、学校運営に積極的に参加しています。

震災時には宮城県から保健の先生らが駆けつけて支援してくれたという。「感謝の気持ちを忘れてはいけない」と語る山本校長と吉村先生。

震災を通して「友達を思いやり、励まし合ったり、避難所を手伝ったり、経験してわかることがたくさんあったと思います。命の大切さを身をもって体感しました」と語るのは吉村由美子先生。山本定校長は、「記憶に残すこと、人に伝えること、命を守ること」という三つのことを学んでほしいといいます。「被災の事実だけでなく、支援してもらった方々へ感謝の気持ちを伝え、記憶に残してほしいですね」。

「防災について考えるようになりました」と、会長を務める6年成松来望さん。地震後は、校区外から通学している。

「今も不安な気持ちで過ごしている人がいるかもしれないから、少しでも元気になってもらえるよう頑張っていきたい」という5年本田大和さん。

「先輩たちがいろんな活動をしているのを見て、やってみたいと思いました。みんなを引っ張って、楽しく活動していきたい」という6年甲斐啓人さん。

「あいさつ運動や全校集会の司会など、みんなと力を合わせて頑張ります」。先生に勧められて運営委員になったという6年松下はるなさん。

「みんなよりも先にあいさつをするなど、積極的に活動していきたい。楽しいイベントなども考えてやってみたいです」という5年本田壮太さん。

>>御船町立小坂小学校

美里町

オール美里でスタートラインを目指そう

元気いっぱい、美里町職員の皆さん。(写真前列左より)企画情報課・清村大樹さん、同・那須美波さん、林務観光課・石原恵さん、企画情報課・渡邊裕一郎さん、(写真後列左より)林務観光課・岩越千治さん、同・堀川真志さん、企画情報課・豊田恭平さん、教育課・古閑 光さん。

ハート形の影が水面に映る“ハートの石橋”で知られる二俣橋は、下益城郡美里町を代表する観光地の一つ。しかしL字型に連なる兄弟橋のうち、「二俣福良渡橋」が倒壊。現在は、アーチ型に組み上げる復旧作業が進んでいます。
震災時には、道路やのり面が崩壊し、町内の交通網が寸断され、その後の豪雨で土砂災害も発生するなど、幾重もの災害に見舞われた中で、美里町の職員の皆さんは一歩ずつ復旧の歩みを進めてきました。

自然豊かな美里町の魅力を満喫できるのが「フォレストアドベンチャー・美里」。緑川ダム湖上を滑走する510mのジップスライドはスリル満点。

日本一を誇る3333段の石段は釈迦院へと続く参道で、四季折々の美しい風景を満喫できる。毎年11月には「アタック・ザ・日本一」も開催!

「今はまだスタートラインに立つことが目標」と語るのは、企画情報課・渡邊裕一郎さん。「役場だけでなく、オール美里で再スタートを切り、地震前の暮らしを取り戻すことが復興です」。復旧が進む中で、被災を教訓として生かし、よりよいまちづくりにつなげていきたいという職員の皆さんの思いは一つ。観光や移住・定住に選ばれる町へと、美里町の魅力を発信するさまざまな取り組みがスタートしています。

美里町の広報紙「広報みさと」。「住民の皆さんと触れ合う取材を通して、笑顔と元気を届けたい」と編集担当の企画情報課・那須美波さんは語る。

快適な旅を楽しんでもらおうと町公式観光アプリ「みさとりっぷ」を開発。ルート案内やクーポン掲載、ARで仮想現実の旅を体験できるなどお楽しみがいっぱい!

美里町の魅力を紹介するショートフィルム「恋スル美里」を制作。熊本出身のシンガーソングライター・MICAの曲に乗せて映画風に紹介する。

>>恋スル美里
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