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赤いけん!ウマいけん!くまもと 農家ごはん&漁師ごはん #06 天草大王

真っ赤なトマトにスイカ、あか牛、クルマエビ、赤酒・・・熊本の“おいしい”は“赤”がキーワードです。
「農家ごはん&漁師ごはん」はおいしい“くまもとの赤”を生産者にご紹介いただくシリーズ。
今回は、熊本県内だけで飼育されている日本最大級の地鶏、「天草大王」をご紹介します。

天草ならではの『天草大王』を育てたい

青い海に囲まれ、温暖な気候に恵まれた上天草市。八代海を見下ろす山の中腹に、山口博子さんが代表を務める「天草大王」の養鶏場があります。「海が見える養鶏場なんて珍しいでしょ?ここに来られた方は、皆さん喜ばれるんですよ」。そう話す山口さんは、明るい日差しに負けないくらいの笑顔を見せます。

山口家が「天草大王」を育て始めたのは平成17年。「元々は海運業や採石業を営んでおり、農業とは全くの無縁。なのに、父が『天草大王』という名にほれ込み、養鶏業に乗り出すことを決めてしまったのです」。驚きはしたものの、親が一生懸命働く姿を見て育ってきたせいか、手伝わないという選択肢は思いつかなかったそうです。

「とにかく試行錯誤の連続でした。ひな鳥が寒くないように、鶏舎にこたつのヒーターを持ち込み、ストーブをガンガンたいて3時間おきに見回りに行ったり、音楽を聞かせると良いのではと思い、童謡を流したり」。

そうやって育てた300羽は出荷せず、全て近所や飲食店に配りました。というのも、「天草大王」は長らく途絶えていたものを、平成13年に復元したばかりだったからです。「みんな食べたことはもちろん、名前すら聞いたことがない。まずはその存在を知ってもらうところから始めました」。

また、“天草”の名が付くからにはと、天草らしさにも徹底してこだわりました。ここでは、県が指導するエサに加え、天草で採れる海藻やちりめん、いわし、貝の粉などを与えています。このことには、栄養豊富なエサを与えることで、よりおいしい「天草大王」を人々に届けたいとの熱意も込められています。

展示会や商談会のため全国へと出掛けて行く山口さん。即売会では、鶏肉としては高めの値段に二の足を踏む人も、一度食べるとリピーターになることが多いそうです。「毎年参加する物産展で、お客さまから『待ってたよ』と声を掛けていただくたびに、その期待に応えるためにも、おいしさへのこだわりはずっと持ち続けなければと肝に銘じています」。

「天草大王」に取り組んで8年。その間に、お父さんは残念ながら亡くなりましたが、その熱意は山口さんたち家族がしっかり受け継ぎ、飼育数も1500羽に増えました。「だけど、まだまだ分からないことだらけ。四季やその折々の環境の変化によって育ち方も変わってくるので、毎日が勉強です。一羽一羽をどう大切に育てるか、そして一羽一羽の良さを皆さんに分かっていただくにはどうしたらよいか。たぶんこれからも、試行錯誤が続いていくのだと思います」。

写真:上天草の風景。緑と花に囲まれ、遠景に海が見える
写真:エサをついばむ鶏たちを離れて見つめる山口さん 写真:網から顔を出す雛鳥たち 写真:雛の水入れに水をやる山口さん 写真:立派に育った雄鶏を抱く山口さん

復活!幻の地鶏

「天草大王」は、かつて熊本を代表する地鶏の一つでした。特に明治後期から大正時代にかけて生産が盛んで、天草島内各地で飼育されていたといわれています。その体は非常に大きく、体重6.4~6.8キロに達したという記録が残っています。博多の名物料理である水炊き用として大変人気がありましたが、景気の衰退とともに需要が減り、昭和初期には完全に姿を消してしまいました。

そんな“幻の地鶏”を復活させようと、わずかに残った文献と「天草大王」が描かれた1枚の油絵を元に、熊本県農業研究センターが取り組み始めたのが平成4年のこと。地道な努力を重ね、平成13年、ついに復元に至ります。復元された「天草大王」は、姿形や羽毛の色、大きさや重さまで、文献や油絵とそっくりでした。平成15年からは農家での飼育も始まり、現在、一定の基準を満たした県内各地の農家で、厳しい基準を遵守しながら飼育されています。

「天草大王」の飼育期間は、ブロイラーの51日、通常の地鶏80日と比べてかなり長い110日以上が目安とされています。じっくりと育てることで身が締まり、適度な歯応えがある上に脂ののりもよく、コクのある深い味わいになるのです。

このほかにも、ストレスを与えないため「平飼い」にすること、床をコンクリート敷きにした鶏舎の中で飼育することなど、食の安心・安全にも考慮した細かい基準が定められています。復元から11年。飼育に取り組む農家の努力により、「天草大王」の名とそのおいしさは、ゆっくり、確実に広がっています。

写真:復元された天草大王の雄と雌 絵:失われてしまった天草大王の当時の姿を伝える油絵。

油絵に描かれた雄(左)、雌(右)

くまモン:見事な復元だモン

やまぐちさんちの「天草大王」レシピ

「天草大王」のだご汁

地域で定期的に開催されている朝市にも出しているだご汁です。おいしいと評判で、大きな鍋を持って買いに来てくれる人もいます。我が家では天草大王の鶏ガラスープで作りますが、それがなくてもお肉からたっぷりうま味が出るので、十分おいしく作れますよ。

写真:山口さん

写真:「天草大王」のだご汁

材料

天草大王(もも身)・・・・・・・
120g
里芋 ・・・・・・・・・・・・・・・
2個
ゴボウ・・・・・・・・・・・・・
1/4本
ニンジン・・・・・・・・・・・・
1/2本
白菜・・・・・・・・・・・・・・
5~6枚
小麦粉・・・・・・・・・・・・・
100g
すいとん粉・・・・・・・・・・・
100g
だし汁・・・・・・・・・・・・
 ※だし汁の代わりに水でも可
1000cc
  
薄口しょうゆ、塩・・・・・・・・・
適量

作り方

  • (1)「天草大王」は細切れに。里芋はさいの目切り(1cm角の角切り)にする。ゴボウは斜め薄切り、ニンジンは薄切り、白菜は小さめのザク切りにする。
  • (2)団子を作る。小麦粉とすいとん粉を同量合わせ、水(分量外)を少しずつ加えてこねながら、ひとまとめにする。
  • (3)(2)をめん棒で5mm程度の厚さに延ばし、10cm幅に切る。
  • (4)(3)を一つに重ね、縦10cm、横5cmになるように切る。短いうどんのような団子ができる。
  • (5)鍋にだし汁または水と里芋、ゴボウを入れ火にかけ、里芋に火が通ったら「天草大王」を入れる。浮いてくるアクをすくい、残りの野菜、続けて団子を入れる。
  • (6)具に火が通ったら、薄口しょうゆと塩で味を整える。