TOPページ  > 住みたい > I LOVE くまもと vol.22 熊本の田舎町で理想の家具を作り地域づくりを楽しむ

I LOVE くまもと vol.22 温もりのある家具を作りながら楽しみながら町を盛り上げたい

くまもとには、さまざまな思いを抱いて県外から移り住んできた人がいます。
「I LOVE♡くまもと」は、移住者が感じる“くまもと”を、日々の暮らしを通して語ってもらうシリーズ。
今回登場するのは、玉名郡和水(なごみ)町で温かみのある木の家具を作る家具職人・小野弥さんです。


脱サラして家具職人に。目指すは“100年後のアンティーク”

私が和水町に移住して来たのは2001年です。それから10年余り、町が運営する「肥後民家村」の「木工館」を借りて作業場にしていましたが、2012年秋に念願のマイ工房「+木」を町内にオープンしました。一人きりの、小さい工房ながらも、自分の理想とする家具作りを追求できるので、とても充実しています。

「+木」は「たすき」と読みます。暮らしに木の温もりを+(プラス)してほしいという“願い”と、作り手から使い手へ、そして親から子へ、子から孫へと襷(たすき)をつなぐように受け継がれる家具を作ろうという“志”の、2つの思いを込めて名付けました。だから、無垢の木を使い、できるだけ釘やネジを使わず、丁寧に作ることを心掛けています。目指すは100年後のアンティーク。世代を越えて受け継がれ、100年経った時、アンティークとして残っているような家具を作りたいと思っています。

写真:椅子にオイルを塗る小野さん

完成間近の椅子に自然素材のオイルを塗る。主にオーダーメイドで作られる家具は、自然の質感をできるだけ生かしている

写真:階段上に5つの引き出しが付いた小引き出し

昔の階段だんすをイメージした小引き出し。前板に異なる素材を使った遊び心が楽しい

写真:+木(たすき)の看板

小野さん手作りの看板が工房「+木」の目印

私は東京で生まれ、東京の大学を卒業し、就職後もずっと都会暮らしでした。キャンプが好きで休日になるとよく山などに出掛けていたのですが、田舎の風景に触れるうちに、自然と自分もいつかは田舎で暮らしたいと思うようになっていきました。同時期、モノを作る仕事がしたいという思いも湧いてきました。学生時代、映画作りに没頭したことがあり、何かを作る楽しさを覚えたことが底にあったのかもしれません。

30歳の時、ついに会社を辞め、都内の職業訓練校に入校。一年間木工を学びました。もう後戻りできないと、とにかく一生懸命勉強したのを覚えています。卒業後は福岡の家具工房に就職しました。しかし、自分の本当に作りたい家具を追求するために独立を決意。「肥後民家村」の中の建物を工房として使えることを知り和水町に移住、現在に至ります。和水町は自然が豊富。ここに来てからキャンプには行っていませんが、豊かな緑の中、鳥の声や虫の音に囲まれて過ごしている今は、毎日がキャンプみたいなものです。


自らが楽しむことで和水町が活性化すれば幸せなこと

和水町は田舎の良さを感じられる町です。都会暮らしが長かった私は勝手に「田舎は閉鎖的」というイメージを持っていましたが、全然そんなことはなく、町の人たちはとてもフレンドリー。最初の住まいは小学校の近くだったのですが、下校中の小学生たちが家をのぞくようになって、いつの間にか勝手に上がり込んでパソコンをいじってて。するとそのお母さんが鍋を片手に「肉じゃが作ったから食べなっせ(食べなさい)」とやって来る。そんな感じです。

また、地域のコミュニティーがしっかり残っているところも魅力です。地区ごとに行う草刈りなどの作業や消防団活動、分館(※)の役員など、地域と関わる機会が多く、移住してきた私にとっては地元の人々と知り合えるよいきっかけとなっています。移住したのが30代初めと若かったこともあり、事あるごとに地域活動に駆り出されるのですが、それはつまり地域のためにできることがたくさんあるということ。若いうちに移住して来て良かったと思います。

※分館=公民館組織の一つ

写真:ユニークな形をした家具が並ぶ店内

2階のセレクトショップには、小野さんの家具と熊本の工芸作家たちの作品が並んでいる

写真:小さな雑貨が並ぶ店内の窓際

窓の外にはのどかな里山の風景

写真:棚。アクセサリーや木製のスプーン、箸が並ぶ

セレクトショップに並ぶ作品の一部

写真:沢山の人でにぎわうイベントの様子

「バンコCafe」の様子

「+木」の2階ではセレクトショップを開いています。ガラスや陶芸、竹細工、肥後象がんなど、私がいいなと感じた熊本の作家たちの作品を並べています。熊本は作家のレベルが高い。この近くには山鹿温泉や平山温泉など県外の人にも人気の高い温泉地があるので、そこを訪れた人たちが「+木」にも立ち寄ってくれて、ここから熊本の作家たちの情報を発信できればいいな、と考えています。

また、工房の仕事とは別に、2011年から年2回のペースで「肥後民家村」を会場に「バンコCafe」というイベントを開いています。町の有志や町内外の移住者をはじめ、「面白そう!」「楽しそう」と思ってくれる人が中心メンバーとなっています。「バンコ」はポルトガル語で「ベンチ」の意味。参加者にはバンコに座って思い思いに音楽やワークショップを楽しんでもらいます。町外・県外からの参加者も多く、このようなイベントを通して、和水町にとどまらない県北地域くらいの広い単位で盛り上がりをつくっていきたいですね。そのためには、まず私自身も楽しまないと!その楽しさが町の人たちに伝わって、いずれは和水町の活性化につながることがあれば、とても幸せなことだなと思います。


移住・定住のコツ 「自然体」

田舎は自然も人も懐が深い!素直に自分を出しても受け入れてくれます。でも、好き勝手して良いということではありません。
「わがまま」ではなくあくまで「自然体」を目指しましょう。

熊本県の北西部、福岡県との県境に位置する和水町。豊かな自然と、江田船山古墳や豊前街道を代表とする多くの歴史資産に恵まれています。

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江田船山古墳