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I LOVE くまもと vol.16 移り行く阿蘇の姿に自分自身の変化を重ねて

  

くまもとには、さまざまな思いを抱いて県外から移り住んできた人がいます。
「I LOVE♡くまもと」は、移住者が感じる“くまもと”を、日々の暮らしを通して語ってもらうシリーズ。
今回登場するのは、昨年3月に阿蘇郡南阿蘇村に移り住んだ、大分県出身の岡田治之さんです。


素晴らしい風景が身近にある それが阿蘇の魅力

阿蘇は、17、8年前からよく訪れていました。もともと山登りが好きで、その延長として阿蘇をドライブしては風景を楽しんでいたのですが、次第にその魅力にはまり込んでしまい、平成24年3月に移住。今は製造工場での仕事の傍ら、大好きな阿蘇の風景を写真に撮る日々を送っています。

阿蘇は、人々の暮らしのすぐ近くに素晴らしい風景があることが魅力の一つだと思います。それを最初に実感し、阿蘇にのめり込むきっかけの一つとなったのが“雲海”です。忘れもしない、平成8年11月10日、午後4時。車で山道を登っていると突如視界が開け、雲の上に山々がくっきりと浮かぶ光景が目に飛び込んできました。話に聞いてはいたものの、実際目の当たりにした雲海はただただ圧倒的で、このような景色が身近に見られることが信じられませんでした。

ここに移り住んだころは、自らの生き方を見直す時期だったのだと思います。一度きりの人生、後悔する生き方はしたくない。それならばほれ込んだ場所で新しい生活に挑戦しよう、と阿蘇への移住を決断しました。

新しい住まいや仕事はインターネットで下調べし、スムーズに見つけることができました。また、以前から、阿蘇の自然観察の手伝いなどをするパークボランティア活動に参加していたので、そこで培った人脈も心強かったですね。

それでも新生活にトラブルはつきもの。最初、水道の出が悪く、やむなく湧水をくみに行っていました。しかし水道が直った今も、それは日課になっています。阿蘇は湧水の郷(さと)。たくさんある湧水地はそれぞれ微妙に味が異なり、料理にはあの水、お茶にはこちらと、使い分けて楽しんでいます。

写真:阿蘇の雲海

阿蘇に魅了されるきっかけとなった雲海は、ずっと追い続けている撮影テーマの一つ(岡田さん撮影)

写真:カメラを持つ岡田さん

暇を見つけては、愛用のカメラを手に広い阿蘇を駆けまわる

写真:水を汲む岡田さん

写真:塩井水源

よく水をくみに訪れる「塩井社水源」。「ここの水でコーヒーやお茶を入れるとおいしいんですよ」


姿が変わって行くのは自然なこと ならばその変化を見守ろう

新しい暮らしが軌道に乗り始めたころ、阿蘇を揺るがす大きな出来事が起こりました。昨年7月の九州北部豪雨災害です。多くの人の命を奪った災害は、阿蘇の風景をも変えてしまいました。寸断された道路や鉄道は徐々に復旧したものの、無数にえぐられ、黒い地肌をさらした山々は何カ月経っても痛々しいまま。本当に元の風景に戻るのだろうかと、不安に思いながら年を越しました。

そんなある日の早朝、巨大ながけ崩れの跡の、岩がゴロゴロした地面に、フキノトウを見つけたのです。いつもはなだらかな野原で見掛けていたフキノトウが、こんな荒れた場所に、それもたくさん芽吹いているのを目にした時、「ああ、阿蘇は長い年月をかけて、このような出来事を繰り返して、今の姿になってきたんだな」ということが、実感として胸に迫ってきました。

ならばその変化を見つめていくのも悪くない。そう思えた時、移り変わって行く阿蘇の姿が自分自身の変化と重なり合い、ただ好きで訪れていただけのころとは違う阿蘇の姿が見えるようになりました。この出来事を境に、雄大な風景だけでなく、より身近な小さな変化にも気持ちが向くようになりました。

写真を撮りながら阿蘇を巡っていると、一瞬の風景とともに、優しく柔らかな心を持った人々とも出会います。そんな阿蘇で暮らすうちに、自分の考え方が変わってきたことを感じます。今は“生きていること”それ自体がぜいたくなことなのだと思えるようになりました。これからも長い目で阿蘇の変化を見守りつつ、自分自身がどう変わっていくのかも楽しみに、この場所で生きていこうと思います。

写真:南阿蘇を一望できる高台に立つ岡田さん

南阿蘇を一望できるお気に入りの場所に立つ。この風景を眺めていると心が落ち着く

写真:フキノトウ

がれきの上に芽吹いたフキノトウたちが、気持ちに変化をもたらしてくれた(岡田さん撮影)

写真:春の阿蘇(岡田さん撮影)

写真:夏の阿蘇(岡田さん撮影)

写真:秋の阿蘇(岡田さん撮影)

写真:冬の阿蘇(岡田さん撮影)

写真:小さな草花(岡田さん撮影)

春夏秋冬でさまざまな表情を見せる阿蘇。雄大な風景を魅力に思いつつも、最近では道端の小さな草花などに心を動かされる(5枚とも岡田さん撮影)


新しい場所で暮らしていくためには、相手の言うことを受け入れる「優しさ」が大切だと思います。新生活の余裕の無さから、つい自分本位になりがちですが、謙虚に自分を見直す気持ちを忘れないこと。「厳しさ」は自分に対してだけ持てばいいですから。

南阿蘇村ってこんなところ


阿蘇のカルデラの南側に位置し、牧歌的な風景といくつもの湧水スポット、泉質多彩な温泉などに恵まれた、魅力いっぱいの村です。


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写真:南阿蘇の風景