何もないところが良いありのままを楽しむ“水上村暮らし”
主にスギの木でつくられたログハウス。「鍵がないので、ご近所さんが野菜やキノコ、シカ肉などを置いていってくれます」というほどオープンな農家民宿
 球磨郡水上村(くまぐんみずかみむら)にある「瓢鰻亭(ひょうまんてい)」は、ログハウスの農家民宿。この民宿を営むのが、木嶋幸利さんです。木嶋さんは、13年前から水上村が主催する講座に参加して、ログハウスづくりのノウハウを習得。「いつかは自分のログハウスをつくりたい」という願いを、4年前にかなえました。当初は、趣味で使う自分の“隠れ家”をつくるつもりでしたが、村からの「農家民宿をやってみないか」という誘いもあり、農家民宿を開くことを決意。かまどで炊くご飯や、市房山を眺めながら入る五右衛門風呂など、ありのままの田舎暮らしを満喫できるこの農家民宿には、熊本市内から遠くは関東まで、普段は都会で暮らす人々が安らぎを求めて訪れています。

レストランでいただくことができる人気のシフォンケーキは、レストラン横のショップコーナーでも販売中。
仕事をするのが大好きだという大橋さん。「次は何を作ろうかなと考えているときが、一番楽しいですね」と話す。
 水上村生まれの木嶋さんは郵便局に就職後、関東に転勤。当時は田舎の暮らしを不便に感じていて、都会での暮らしに憧れていました。しかし、実際に都会で生活をしてみると、豊かな自然や静かな環境、昔ながらのかやぶき屋根の家の魅力など、田舎暮らしの良さに気付いていったそうです。次第に「地元に戻りたい」という気持ちが強くなり、縁あって30代で地元に転勤となりました。やがて、村でログハウスづくり講座が開かれていることを知り、木の温もりを直に感じることができるログハウスづくりに熱中。そして早期退職を機に「まだ体力があるうちに!」と自分のログハウスづくりに着手。一人でできないところは昔なじみの同級生に手伝ってもらいながら、4カ月をかけて完成させたのです。

 「瓢鰻亭」は、素泊まりスタイルの宿。木嶋さんや近所の農家が育てた米や野菜、卵、地鶏を材料に、お客さん自身が食事を用意したり、五右衛門風呂を沸かしたりします。「私もお客さんも気を使わなくて良いようなスタイルにすることで、わが家にいるようにくつろぎ、安らいでほしいと思ったんです」と木嶋さん。また、野菜の収穫やヤマメ釣り、コンニャクづくり、みそづくりなどを体験することもできます。これらは、木嶋さんが普段の生活の中で行なっていることでもあります。「自分でつくったものは、お店で買ったものと比べると何倍もおいしく感じますよね。それを、お客さんにも感じてほしいのです」。

現在「はな阿蘇美」では、「秋のバラ祭り」を開催中です。ピンクや赤、黄色などさまざまなバラを楽しむことができます。

現在「はな阿蘇美」では、「秋のバラ祭り」を開催中です。ピンクや赤、黄色などさまざまなバラを楽しむことができます。

 「瓢鰻亭」というユニークな名前は、英語の「ヒューマニティ(人間らしさ)」をもじったもの。「人と人のつながりを大切にする場所にしたい」という木嶋さんの思いが込められているのです。「瓢鰻亭」は、建てられるときも木嶋さんと友人のつながりから生まれ、そして新たな人と人との出会いを生む、まさに“人と人がつながる場所”。「宿に泊まったお客さんから『ここでつくったみそを自宅で寝かせていたら、表面にカビが生えてしまったんだけどどうすればいいですか?』とか、『魚釣りの時期はいつですか?餌はどんなふうにすれば良いですか?』とかいう質問の電話がよくかかってくるんです。そんなときは、『カビが生えてしまったところを取り除いて、霧吹きでアルコールをかけるといいですよ』とか、エサの準備の仕方、釣り方をアドバイスします。これも昔から伝わる知恵ですね。このような連絡をもらうと、ここでの“暮らし”を楽しんでくれたのだな、一度きりではなくて、長く付き合える人と出会えたのだな、とうれしくなりますね」と木嶋さんは話します。

 「水上村の良さは、“つくられたもの”がないこと。ありのままの自然で、十分に楽しむことができるし、都会暮らしの疲れも癒やされます。物より自然を相手にする方が、常に変化があって面白いですよね」と木嶋さん。「まずは自分が楽しまなければ」と、日々、水上村の楽しみ方を探し続けています。いたずらっぽい笑顔を浮かべ「面白いことは自分だけの秘密」と言いながらも、絶景が見渡せるポイントや、水上村の遊び方を教えてくれる。そんな温かな人柄がにじみ出ている木嶋さんの宿で、また新たな人と人との出会いが生まれていきます。

※なお、スタッフブログでも市房山をご紹介しています。
>> スタッフブログ

取材ノート

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熊本県移住・定住ポータルサイト

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