南阿蘇の好きなところは 四季折々に表情を変える谷の自然と人の温かさです 「久永屋」&長陽駅駅長 久永操(そう)さん
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ホームから雄大な景色を眺めながらお茶を一杯。

 南阿蘇鉄道・長陽駅は、土・日曜、祝日になるとおいしいシフォンケーキを振る舞うカフェになります。ここで駅舎カフェ「久永屋」を営み、長陽駅の“駅長”も務めるのは久永操さん。佐賀県出身の久永さんは南阿蘇に移り住み、約4年前に長陽駅で「久永屋」を開きました。
 南阿蘇に住む前は、アメリカのオレゴン州に留学していた久永さん。そのときから、日本でもいつかは自然に囲まれた暮らしがしたい、という思いを持っていたそうです。「もっとも、帰国したら別の仕事をして、いつかは…という程度でした。でも、とあるカフェを訪れたときに、のんびりと時間が流れている中で、いろんな人が集まっていて。そんな場所を自分も作りたいと思ったんです」。

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季節のフルーツを使ったふわふわのシフォンケーキ。

 幼い頃から休日になると南阿蘇に家族で訪れていたという久永さん。緑豊かな大自然を満喫できる慣れ親しんだこの地で“集いの場”を作ることを決意。南阿蘇鉄道・中松駅でそば屋を営む中原さんの紹介で長陽駅を訪れたとき、待合室からホームへと抜ける景色に一目ぼれだったそうです。「ホームの向こうでは田んぼの稲が風になびき、その後ろには青々とした山がそびえ立っている。その景色を見たときにここしかないと思ったんです」。
 それから少しずつ駅の改装を行ってきましたが、それができたのも家族や地元の人などたくさんの人の協力と支えがあったからこそと、オープンしたばかりの頃を振り返ります。

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大工仕事!となるといつも駆けつけてくれるご近所さん。

 この日は、ホームに新しく置くためのテーブル作りが行われていました。いつも大工仕事を手伝ってくれる近所の方とは「腐れ縁ですもんね」と言い合う仲。駅の改装を始めた頃、作業をしていると「なんしよっとねー(何してるの?)」、「その道具はあからん(良くない)。こっちば使いなっせ(こっちを使いなさい)」と誰からともなく声を掛けてくれ、南阿蘇の人々の温かさと優しさに胸が熱くなったといいます。
 ホームに列車が停まると乗客に声を掛けたり、手を振って見送ったり。また駅前の駐車場でお客さんらしき人を見つけると駆け寄って「お茶でもどうぞ」とホームのテーブルへと案内したり。そんな気さくな“駅長”の姿には「いろんな人が気軽に集える場所を作りたい」という久永さんの思いがあふれています。

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小さな頃からお菓子作りが好きだったという久永さん。一つひとつ丁寧に作られたシフォンケーキにファンも多い。

 店を始めたばかりの頃、どのように運営していけば良いのかアドバイスをしてくれたのも地元の人たちでした。「人との出会いやつながりに恵まれています。最近は、高校生も店を手伝ってくれるんです。絵を描くのが得意な子がいたり、元気いっぱいな子がいたり。そういうつながりができていくのは面白いし、大事にしていきたい」と話す久永さん。
 「南阿蘇のいいところは、いつも違う表情を見せてくれる景色や、のんびりとした時間の中で暮らす温かい人たち。毎日同じような景色に見えても、季節によって少しずつ変化しているんです。だから毎日見ても飽きることがないんですよね。そんな自然の中で暮らす人たちはみんな気持ちにゆとりがあって、そのゆとりがあるから周りの人への気配りができるんだと思うんです。そんな“南阿蘇の人”になりたい」。

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子どもたちは、ホームに置かれたおもちゃに夢中。小さい子どもから大人まで、さまざまな人が集まる。

 無人駅だった長陽駅は、地域の人たち、そして観光客にとっても“集いの場”となり、そこからまた新たな出会いやつながりが生まれる場となりました。今日もホームにはにぎやかな笑い声が響き、焼き立てのシフォンケーキのほんのり甘い香りが駅を包み込みます。

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取材ノート

長陽駅「久永屋」
久永操さん

熊本県阿蘇郡南阿蘇村河陽3440-4 長陽駅舎内
TEL 0967-67-1107
営業時間 土・日曜、祝日 11:00~18:00

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